【シニア】
半数以上のシニアが遠隔医療を利用したい
―ネット利用時間・通院、交通事情から利用したい人の特性に迫るー
(2023年10月26日)
調査・研究~モバイル社会研究所で実施している調査・研究テーマのご紹介~
ポイント
調査結果
2023年1月に訪問留置法(調査員が訪問し調査を承諾頂いた方に紙で質問票を配り後日回収)を用いて実査した結果より、シニアの遠隔医療の利用意向について、分析した結果をお伝えします。
1. 60代は利用意向が高く6割を超える
今は利用している人が少ないICTサービスでも今後普及する可能性があるものがいくつかあります。今回は今後普及する可能性があるサービスから、遠隔医療(テレビ電話やインターネットなどを使って、自宅で医師の診療が受けられるサービス)への期待を見ていきます。
図1は遠隔医療の利用意向になります。現在利用しているシニアはほとんどいませんが、利用意向に対して、半数を超えるシニアが利用したいと答えています。利用したい人は60代で高く男女ともに6割を超えています。
図1. 遠隔医療の利用意向
ではどのようなシニアが遠隔利用を利用したいと思っているか「現在のICT利用」「交通事情」「居住エリア」で見ていきます。
2. 現在インターネットを多く利用しているシニアは利用意向が高い
1日のインターネット利用時間と遠隔利用への利用意向を合わせて見た結果が図2です。年代問わず、利用意向が高いほどインターネット利用時間は長い傾向にあります。
図2. インターネット利用時間と遠隔医療の利用意向
3. 現在適度に医療機関を必要としている人は利用意向が高い
現在、治療・医療を必要している程度と遠隔医療の意向を合わせて見てみました。現在適度に利用している人は、利用意向が高い傾向でした。現在医療機関を多く必要としている人は、利用意向が低い傾向です。
図3. 治療・医療の必要有無と遠隔医療の利用意向
4. 移動手段が鉄道のシニアは利用意向が高い
主な移動手段と利用意向を合わせて見ると、「鉄道」が最も高い意向でした。これは駅までの移動距離への負担(時間、体力面)を感じている可能性があります。
図4. 主な移動手段と遠隔医療の利用意向
5. 居住地域では利用意向に大きな差は見られない
居住地域と利用意向を合わせて見ると、「北陸・甲信越」がやや高く、「九州」がやや低いですが、大きく地域で差は見られないです。
図5. 地域と遠隔医療の利用意向
今回の分析の結果、遠隔医療への利用意向との関連が大きかったのは、現在のICTへの利用状況でした。よりメリットがあると思わるのは医療機関への利用頻度が高い70代であり、現在の意向とは反対(60代より低い)の結果でした。最初はイノベータ層に広がっていくと思われますが、その後、よりメリットがある方に広がっていくか、引き続き調査を続けていきます。
なお、医療・介護の医療意向は「介護ロボット」「認知症の早期発見」についも調査しています。その結果は「モバイル社会研究所白書2023年版」で紹介しています。
当白書は、シニアに関する調査結果だけではなく、ICT利用状況全般の調査結果をまとめていますので、是非ご覧ください。
・ モバイル社会研究所白書2023年版(全体)
・モバイル社会研究所白書2023年版(シニア調査)
※「介護ロボット」「認知症の早期発見」の利用意向は資料8-40に掲載しています。
調査概要 ―「2023年シニア調査」―
調査方法 | 訪問留置調査 |
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調査対象 | 全国・60~79歳男女 |
有効回答数 | 1,350 |
サンプリング | QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県の人口分布に比例して割付。 |
調査時期 | 2023年1月 |
問い合わせ先
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モバイル社会研究所では、「スマホ・ケータイ」の所有状況を経年で独自に調査した結果を『モバイル社会白書』として下記のURLで公開しています。ぜひご活用下さい。
< https://www.moba-ken.jp/whitepaper/index.html>