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モバイル社会研究所

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通信業界の直接の利害を離れ、自由独立の立場から、モバイルICTがもたらす光と影の両面を解明し、その成果を社会に還元することを目的とする、NTTドコモの社会科学系の研究所です。

【シニア】
シニアでスマホのセキュリティ対策に不安を感じている理由「どこまでやればいいか分からない」が最多 年代が上がると「方法が分からない」が増える
(2025年7月24日)

調査・研究~モバイル社会研究所で実施している調査・研究テーマのご紹介~

ポイント

  • 画面ロック60代は7割が利用 80代前半は3割に留まる(図1
  • スマホの利用時間が長いシニアは多方面の対策を実施(図2
  • スマホの利用時間が短いシニアはセキュリティ対策ができていないと答える割合が多い(図3
  • 十分できていない理由「何をどこまですれば十分か分からない」が最多(図4
  • 80代前半の22%はセキュリティ対策をできていると思っているが何も対策はしていない(図6

調査結果

2025年1月に訪問留置法(調査員が訪問し調査を承諾頂いた方に紙で質問票を配り後日回収)を用いて実査(60歳~84歳が対象)した結果より、買い物について分析した結果をお伝えします。

1. 画面ロック60代は7割が利用 80代前半は3割に留まる

シニア世代にもスマホの所有が広がっています(2025年3月4日レポート参照)。あんしん・あんぜんにスマホを利用するために、どのようなことに気を付けているのでしょうか。実施しているセキュリティに関する事項とその対策で十分と思っているかを調査しました。

図1の通り、スマホに関するセキュリティ対策は、年齢が低い方が多数行っています。画面ロックは60代で7割が利用しています。その一方、80代前半の約4割は何も対策をしていませんでした。

図1. シニア スマホのセキュリティ対策(複数回答)

※スマホを所有している人が対象

2. スマホの利用時間が長いシニアは多方面の対策を実施

図2は1日のスマホの利用時間とセキュリティ対策の項目に合わせて見た結果になります。多くの項目は利用時間が長いと対策をしています。ただし、毎日2時間以上スマホを利用しているシニアの6%、1時間以上利用しているシニアの11%は1つも対策を行っていませんでした。

図2. シニア スマホのセキュリティ対策[スマホ利用時間別](複数回答)

※スマホを所有している人が対象

3. スマホの利用時間が短いシニアはセキュリティ対策ができていないと答える割合が多い

次に自身が実施しているセキュリティ対策が十分であるか、聞きました。その結果、図3のとおり年齢が低いセキュリティ対策ができていると回答しました。特に男性は年代間の差が大きいです。

図4では、スマホの利用時間別にセキュリティ対策が十分であるか、合わせて見ました。できていると回答した割合に、大きな差異は見られませんでしたが「できていない」割合はスマホ利用時間が短いと多い結果となりました。セキュリティに対する不安が、スマホの利用の妨げになっている可能性があります。

図3. シニア スマホのセキュリティ対策が十分できているか

※スマホを所有している人が対象



図4. シニア スマホのセキュリティ対策が十分できているか[スマホ利用時間別]

※スマホを所有している人が対象



4. 十分できていない理由「何をどこまですれば十分か分からない」が最多

次にセキュリティ対策が十分にできていない理由を聞きました。その結果、図5の通り年代問わず「何をどこまですれば十分なのかよくわからない」が多いです。また、年代が上がると「対策の実施方法が分からない」と答えた割合が増えていきます。

図5. シニア シニア スマホのセキュリティ対策が十分できていない理由(複数回答)

※スマホを所有している人が対象

5. 80代前半の22%はセキュリティ対策をできていると思っているが何も対策はしていない

最後にスマホのセキュリティ対策をできている・できていないに分けて、セキュリティ対策を何もやっていない割合を算出しました。その結果、できていると答えた人の中でも、70代で13%、80代前半は22%のシニアが何もセキュリティ対策を行っていませんでした。

図6. シニア スマホのセキュリティ対策が十分できているかと対策を何もやっていない割合

※スマホを所有している人が対象

セキュリティ対策がどこまで必要か分からないという不安は高い結果でした。特に年代が上がると、対策方法が分からないシニアが増え、周囲のサポートの必要性が一層感じられます。また、今回の調査から以下の2点が明らかになりました。1つ目は、年代が上がるほどセキュリティ対策を行っていないにもかかわらず、十分に対策できていると考える人が多いこと。2つ目は、スマホの利用に対するセキュリティの不安が、シニアの利用を妨げていることです。

多くのシニアがスマホを所有する時代になった今、利用の促進とともに、あんぜんな利用が広がることを期待します。参考資料として、総務省のサイトを下記に記載しましたので、具体的な事例等はこちらも参考にしてください。

■参考資料
総務省(スマホをあんぜんに利用するためにトラブル対策ブック

シニアに関する調査結果は「モバイル社会白書 2024年版」でも紹介しています。当白書は、シニアに関する調査結果だけではなく、ICT利用状況全般の調査結果をまとめていますので、是非ご覧ください。

モバイル社会研究所白書2024年版(シニア調査)
モバイル社会研究所白書2024年版(全体)

調査概要 ―「2025年シニア調査」―

調査方法 訪問留置調査
調査対象 全国・60~84歳男女
有効回答数 1,300
サンプリング QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県の人口分布に比例して割付。
調査時期 2025年1月

問い合わせ先

本レポートのお問い合わせについては、「お問い合わせページ」でご確認ください。


モバイル社会研究所では、「スマホ・ケータイ」の所有状況を経年で独自に調査した結果を『モバイル社会白書』として下記のURLで公開しています。ぜひご活用下さい。
https://www.moba-ken.jp/whitepaper/index.html

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