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モバイル社会研究所

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通信業界の直接の利害を離れ、自由独立の立場から、モバイルICTがもたらす光と影の両面を解明し、その成果を社会に還元することを目的とする、NTTドコモの社会科学系の研究所です。

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匿名化されたパーソナルデータについて企業利用(商圏分析・販売促進等)は約5割が賛成傾向
(2020年12月9日)

調査・研究~モバイル社会研究所で実施している調査・研究テーマのご紹介~

ポイント

  • 匿名化されたパーソナルデータについて企業利用(商圏分析・販売促進等)は約5割が賛成傾向
  • 匿名化されたパーソナルデータについて国・地方公共団体利用(まちづくり・防災計画等)は約8割が賛成傾向

2011年の世界経済フォーラムにおいて「パーソナルデータは、インターネットにおける新しい石油であり、デジタル世界における新たな通貨である※1」と発表されて以来、パーソナルデータの収集・利活用が世界中で推進されてきました。

我が国におきましては、平成28年12月14日に「官民データ活用推進基本法※2」が公布、施行され、政府は同法第8条を受けて、平成29年5月30日に「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画※3」を閣議決定するなど、パーソナルデータの収集・利活用が推進されてきました。

モバイル社会研究所では前述の背景を受けて、パーソナルデータの利活用に関する意識について、2020年1月に調査を実施しましたので、結果を報告させて頂きます。

1. 調査結果

本調査を実施するにあたり、パーソナルデータの定義について、総務省の “「パーソナルデータ」とは、個人情報に加え、個人情報との境界が曖昧なものを含む、個人と関係性が見出される広範囲の情報を指すものとする(平成29年版 情報通信白書)”との定義を参考にして調査を実施しております。

1-1. 匿名化されたパーソナルデータの利用について

2020年1月~2月に関東1都6県の15~79歳の男女に700名に対して、匿名データの利活用について伺った結果を図1に示します。

「①企業が商圏分析や販売促進などに、個人が特定できないように処理された性別・年代・位置情報・購買履歴を利用してもよいと思う」については、「そう思う」「まあそう思う」を合わせて約48.0%が賛成傾向となりました。

「②国・地方公共団体がまちづくりや防災計画の策定などに、個人が特定できないように処理された性別・年代・位置情報を利用してもよいと思う」については、「そう思う」「まあそう思う」を合わせて約8割が賛成傾向となりました。

図1. 匿名化されたパーソナルデータの利用について

1-2.その他のパーソナルデータ利用について

その他、3つの場合において、パーソナルデータの利用について伺った結果を以下に示します。

「③国・地方公共団体が災害、事故、事件などにおいて、行方不明者の捜索に位置情報を利用してもよいと思う」については、「そう思う」「まあそう思う」を合わせて約8割が賛成傾向となりました。

「④生活習慣改善サービスが提供されるなら、企業に健康情報(歩数、心拍数、消費カロリー、睡眠時間など)を渡してもよいと思う」については、「そう思う」「まあそう思う」を合わせて約5割が賛成傾向となりました。

「⑤保険料が割り引かれるなら、保険会社に健康情報(歩数、心拍数、消費カロリー、睡眠時間など)を渡してもよいと思う」については、「そう思う」「まあそう思う」を合わせて約6割が賛成傾向となりました。

図2. その他のパーソナルデータ利用について

なお、政府は令和2年7月17日に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画※4」の変更を閣議決定しており、その冒頭で”新型コロナウイルス感染症対策そのものへのITやデジタル技術の適用が急務である。(中略)我が国をデジタル技術により強じん化させ、我が国経済を再起動するとの考えの下、ITをユーザーの自律的な判断・行動を支援するツールとし、本格的・抜本的な社会全体のデジタル化を進める必要がある”と記載しており、パーソナルデータの利活用のみならず、さまざまなIT資源を活用した”新型コロナウイルス感染症の感染拡大の阻止、デジタル強じん化による社会構造の変革・社会全体の行動変容”を掲げております。

モバイル社会研究では引き続き本テーマに関する調査・研究を実施していきます。

■引用文献
※1 The emergence of a new asset class. In An Initiative of the World Economic Forum(2011).
http://www3.weforum.org/docs/WEF_ITTC_PersonalDataNewAsset_Report_2011.pdf (2020.12.9参照)

※2 官民データ活用推進基本法(平成28年12月7日成立)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/deta_katsuyosuishin.html (2020.12.9参照)

※3 世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(平成29年5月30日閣議決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20170530/siryou1.pdf (2020.12.9参照)

※4 世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(令和2年7月17日 閣議決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20200717/siryou1.pdf (2020.12.9参照)

2. 調査概要 ―「消費者行動調査2020」―

調査方法 訪問留め置き
調査エリア 関東1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木)
調査対象 全国・15~79歳男女
標本抽出法 2019年1月1日現在の住民基本台帳の人口構成比(性別、年代、都市規模)に従う。
有効回答数と調査時期 700(2020年1月~2月)

問い合わせ先

本レポートのお問い合わせについては、「お問い合わせページ」でご確認ください。


モバイル社会研究所では、「スマホ・ケータイ」の所有状況を経年で独自に調査した結果を『ケータイ社会白書』として下記のURLで公開しています。ぜひご活用下さい。
https://www.moba-ken.jp/whitepaper/index.html

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