子ども霞ヶ関見学デー「ネット利用の安全と未来フォーラム2006」にて講演を行いました

ネット利用の安全と未来フォーラム2006

当日のプログラム(画像をクリックすると拡大表示されます)

当日のプログラム(サムネイル)

モバイル社会研究所は、2006年8月23日(水)に「子ども霞ヶ関見学デー」の同時開催イベントとして実施された「ネット利用の安全と未来フォーラム2006」(総務省・中央合同庁舎2号館)に参加し、研究所員である遊橋裕泰(ゆうはし ひろやす)による講演をおこないました。

以下に、当日のもようを簡単にご紹介いたします。


技術(道具)の普及で社会が変わる

技術(道具)の普及で社会が変わる

皆さんは、通常われわれが使用するキーボードがなぜ「Q,W,E,R,T,Y…」という順番で配列されているのかご存知でしょうか。ご覧いただくとわかりますが、入力の際によく利用するはずの母音「A,I,U,E,O」も打ちにくい場所に配置されています。キーボードの起源はタイプライターに遡りますが、そもそもの発想は、「壊れにくい」タイプライターを作るために、わざと打ちづらい配置を考えたのです。この発想のもとできあがったキー配列が、現在に至るまで続いているわけです。

しかし今では、例えば、若い人の中にはパソコンのキーボードよりも、携帯電話のボタンを使用した方が、より早く文字を入力できるという人もいるようです。外に出ると、ケータイを見ながら横断歩道を渡る人や、コンビニでおさいふケータイを使って買い物をする人を目にすることも一般的になりました。ケータイが普及したことで、街の風景もずいぶん変わってしまったといえます。このように、ある一つの技術的なインタフェースが規定され、それが普及してしまうことの影響は非常に大きいのです。


子どもをとりまくケータイ事情

では、ケータイが普及したことによって、子どもたちにはどのような影響が見られるのでしょうか。

【グラフ <子どもたちへの普及状況>】

グラフ <子どもたちへの普及状況>

-所有率-

まずは、どのくらいの比率で子どもたちがケータイを持っているのかを見ることにしましょう。

小学生はおよそ4分の1、中学生は7割近く、高校生になるとほぼ全員がケータイを所有していることがわかります。

-きっかけ-

※資料<携帯電話保有動機>

ケータイを持つようになったきっかけは、小学生では子どもと親の認識が一致していますが、中学生になると子どもと親の認識がずれてきます。子どもにとっては、中・高校生になるにつれて「友達が使っている」ことの影響が大きくなるようです。

-ルール-

家庭内では、子どもがケータイを使用するにあたって、どのようなルールを作っているのでしょうか。

※資料<家庭でのルール>

ルールを決めている家庭は全体の76%に上りますが、その内容のほとんどが「利用料金の上限」にかかわるものです。ケータイのマナーや使い方といったような、他のルールを設定している家庭はあまり多くありません。

-メール-

次に、子どもがどのような相手とメールをやり取りしているのか見てみましょう。

【グラフ <メールコミュニケーション(群馬大学とモバイル社会研究所の共同研究より)>】
グラフ<メールコミュニケーション(群馬大学とモバイル社会研究所の共同研究より)>

グラフを見ると、学校外の友人や、実際に会ったことのないメル友などとメールをやり取りする子どもが一定の比率で存在することがわかります。親を対象にした調査を実施してわかったのですが、親は、自分の子どもがこうした友人とやり取りしていることをあまり認識していません。

-利用時間と行動特性-

※資料<行動特性と携帯電話保有>

ケータイの利用時間と行動特性との関連を調べた調査によると、ケータイを長く利用すればするほど、「トラブルに遭遇したときにどうするか」を的確に判断するために必要な「先見性」や「課題発見力」の能力に影響が出ることが確認されています(ウィルシード調査、モバイル社会研究所分析)。


子どもが直面するトラブル ~その解決のために必要なこと~

<グループワーク>

グループワークに使用したワークシート
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グループワークに使用したワークシート

ここで、モバイル社会研究所と「とうきょうED研究会」(教員と教育関係社会人のボランティアグループ)が共同制作を行った、中高生向けのテキスト(教材)「みんなのケータイ」を使用したグループワークを行いました。 当日の参加者からは、トラブルの解決にあたっては「親に相談する」、「利用規約をしっかり確認する」、「心当たりのない請求には応じない」といったことが必要であるとの声があげられました。中には、「子どもからいつでも相談してもらえるような関係を作っておく」ことの必要性について強調される方もいらっしゃいました。

ケータイに関連するトラブルは、着メロなどの過剰利用による料金のトラブル、架空請求、いじめの問題など多岐にわたります。こうしたトラブルは、ある一つの手口だけでなく複合的に手口を組み合わせたものが多く、「○○だったら××しなさい」といった単純な対処方法では解決しきれないのが実際です。ただし、こうしたテキスト(教材)を用いて、子どもたちとあらかじめ話をしておくことで、先ほど指摘されたような「相談してもらえるような関係」を大人と子どもの間で作り上げることにつながり、それこそが最も重要であると考えています。


※ なお、本日使用したテキスト「みんなのケータイ」は、モバイル社会研究所のウェブサイトからダウンロードが可能です。

教材「みんなのケータイ」

※ 現在、モバイル社会研究所では「みんなのケータイ」の改訂版の制作を進めています。ケータイを取り巻く環境や実情も、時流とともに変化しつつあるため、それに対応して改訂いたします。今年の秋ごろに完成し、ホームページに公開する予定です。ぜひご覧ください。


(2006年8月30日)