しりとりをしながら、もうひとつの宿題。「なんでもいいから、クリスマスっぽい写真を撮ってくること」。携帯電話カメラの使い方は簡単。問題は「なにを撮るか」。想像力を働かせ、頭の中でクリスマスを思い出す。「う~ん、意外と無いなー」と芸術家風に頭をひねりながら歩く。思いつくと、道の真ん中にだって飛び出しかねない子どもたち。みんながなにかに夢中になっている素振りを見せるとスタッフは緊張して、クルマが近づいてきていないか調べる。
風景写真のような大きな構図ではなく、接近して、接近して、小さなものを捉えていくようなものが多い。何メートルも離れたモノよりも、数十センチの距離。 素敵なクリスマス・リースをやっと見つけたころには、もう学校に戻る時間。
心をこめたクリスマスカード作り。子どもも学生も一生懸命になって共同作業に取り組む。 ケータイというデジタルのツールと、画用紙というアナログのツールを組み合わせて作業するのが子どもたちにとってはわかりやすくて楽しいようだ。
「次は、みんなが撮ってきた写真を使ってクリスマスカードを作ってみよう!」。教室には色紙やはさみ、サインペンが準備されている。
大学生にはあまりに小さな机と椅子。「学校ってこんなに小さかったっけ……」。スタッフも懐かしそうに、グループごとにまとめられた椅子に座ってみんなのカード作りをお手伝い。撮ってきた写真はモバイルプリンターを使って、携帯電話から直接プリントアウト。いよいよクリスマスカードに貼り付ける。「赤外線通信を使って、画像を伝送するという仕組み」には関心はない。子どもたちにとってはケータイもモバイルプリンターも机の上に転がっているはさみや色紙と同じ道具、文房具みたいなものだから。
プリントアウトした写真を並べて悩んでいる子がいる。自分のイメージを一生懸命表現しようしている。いつの間にか教室が少し静かになる。みんな、クリスマスカード作りに夢中になっている様子。
ケータイを作って工作を行う。そのときケータイは「文具」として捉えられている。それは、画用紙と一緒に何かを表現するためのツール。概して、子どもは、通話をするためのケータイという意識が薄いようだ。
携帯電話を手にしたとき、カメラ機能を操作するとき、興味があれば子どもたちはすぐに夢中になる。携帯電話は特別なものじゃない。初めて手にするオモチャ、初めて使うカメラ、初めて作る写真付きクリスマスカード……みんなにとっては全部同じ。「ハサミ貸して」、「紙が足りないよ」、「メリークリスマスのスペルはー?」、「おーい。誰かスペル黒板に書いてくれー」。いつの間にかスタッフもカード作りに夢中になって、なかなか立ち上がろうとしない。
夕方になった。お母さんにあげるカード、友達にあげるカード……。みんなが作り終わったところで、お互いに見せあいっこ。と、サンタクロースが登場。「カードを見せてごらん」。突然すぎるサンタの来訪には少々笑われたけれども、みんな楽しそうだ。
ワークショップはいつでもそう。大学生のスタッフと小学生の子どもたち。おしまいの時間が近づくころには、完全に友達になっている。小学生にとってのお兄さん、お姉さん。大学生にとっての仲間たち、10歳近くも離れているのにギャップがない。
ワークショップは子どもたちみんなが主役。周りの大人たちは、なにかと関心があって近づいてくる。「楽しい?」、「ケータイ使ってみたいと思う?」、「このケータイ使いにくくない?」大人の目が子どもに向いている。でも、みんなはそうして大人たちに見られていることがうれしいのかもしれない。初めて会う大人に対しても、積極的に心を開く。
「落第すんなよー!」。別れ際、男の子の言葉。すかさずスタッフ、「お前もがんばれよ!」
これでワークショップはすべておしまい。
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