教室間の仕切りを取り去った、オープンな空間。廊下との境には丈の低い個人用ロッカーが置かれ、体操着やピアニカが詰め込まれている。綺麗に整頓されているというより、活発な子どもたちの元気の良さが伝わってくる感じの学校。
〈フェロー〉の武山氏が以前実施したメディアキャンプにボランティアで参加した先生が、今回のワークショップにも協力をしてくれた。1年生の担任をされているこの先生が声をかけて、仲間が3人集まってくれた。
ワークショップのスタッフとして参加した学生たちは瞬く間に子どもたちと打ち解け、気がつくと友達同士のように話を楽しんでいる。
ワークショップの進行を担当するのも学生。まずはオリエンテーションで1日の流れを説明しながら、子どもと携帯電話の距離を縮めていく。「撮影した映像を、メールに添付して…… テンプってわかる?」
参加した子どものうち、自分で携帯電話を持っていたのは5年生の女の子ひとりだけ。メールを友達と交換したり、撮影した画像を内蔵のフレーム機能で加工して遊んでいるそうだ。
今回のワークショップは子どもたちが毎日通っている学校で実施した。学校なら、どこに何があるのか勝手もちゃんと分かっている。子どもたちの「テリトリー」で行う遊びの中では、普段の伸び伸びした自然体の有様を覗くことができた。
今回のワークショップでは、遊び慣れている学校の周りをカメラ付き携帯電話片手に歩き回る。そこで「面白いモノ」を発見したら自由に撮影。その画像を教室で待っているお兄さんにメールで送る。お兄さんは受け取った映像にQRコードをくくり付けて、シールにしてくれるのだ。
Tシャツだけでも大丈夫と天気予報が伝える、暖かい1日。東京といえども学校の外は畑や野川など、自然がまだまだ残る地域だ。今日は、いつも下校途中で見つける昼寝中の猫を撮影。初めて使う携帯電話だけど、カメラやメールの機能はすぐにマスターした。子どもレポーターによるナレーションつきの映像が、教室にどんどん送られてくる。
夢中になって画面を覗き込む小さな“ケータイカメラマン”たち。夢中になりすぎると足元や前を見るのが少しおろそかになってしまう。同行したスタッフは、近づいてくる車や自転車に特に気を配る。歩きなれた街をどんどん進み、階段を登って神社の境内を撮影。「いつも、ダンボールに乗って滑ってる土手まで連れて行ってあげる!」と川に向かう。
ドラマのロケに偶然街で遭遇。タレントさんを囲んで沢山の大人たちが、カメラやマイクで取り囲んでいる。通行中の人に「すいません。撮影中なんで少し待ってもらえますか」と、交通整理をするスタッフも。そんな大所帯を横目に見ながら、子どもレポーターは携帯電話を片手に興味津々の様子だ。
「2時半には教室に戻ってくること」と約束したけど、遠くに行き過ぎた。少し遅刻して戻って休憩。そのあいだにも、教室ではQRコードシールの作成が続けられる。たった今、送られてきた映像を簡単なソフトウエアでどんどん加工していく。
子どもたちは、ひとり一台ずつの携帯電話を使わせてもらい、自分の好きなようにあれこれ試してみる、それがとてもご満悦の様子。付き添いの学生たちも自分たちをしっかりサポートしてくれるので、頼れる助っ人が自分のために居てくれるような感じで心強いのだろう。
あっという間に生成できるQRコード。学生たちは、「こいつを使えばいろんなことできますよ」、「つくるのはすごく簡単だし、普及すればもっともっとソフトが良くなると思う」と説明。シールラベルに生成したQRコードをプリントしていく。休憩が終わったら、このシールを子どもに渡して簡単な地図を作ってもらうのだ。
街を歩き回った子どもたちは少し疲れたかな?でも、模造紙やカラーペンを渡して、「さあ、地図を作ってみよう」と声をかけるとすぐに元気を取り戻す。大きな模造紙に、まずは出発地点の学校から描き始める子、折り返し点だった土手から描く子、なかには1枚では描き切れないくらい大きな絵を描く子と、子どもによって個性は様々。大体地図が描けてきたところでQRコードシールを貼る。模造紙に映像が貼り付けられていく。
「QRコードなんて初めて!」、「コマーシャルでみたことあるけど、こんなに簡単なんだ」と、QRコードに興味を示す子どもたち。いよいよ携帯電話の撮影機能を使った映像の再生に挑戦だ。初めて使う機能なのに、まるで以前から使っているみたいにすぐに慣れてしまう。なかには「QRコードってどうやって作るの? 友達に教えてあげたいよ」なんていう子も現れる。子ども達の好奇心が絶えることはない。
最後にみんなが作った地図と見比べてみる。それぞれの地図には5~6個のQRコードが貼り付けられていて、街歩き1時間弱のあいだに撮影したレポートが次々に再生されていく。……さぁ、誰の作品が面白いかな? 「やっぱり自分で撮ったのがいちばん!」
進行係の学生スタッフがみんなの前で「まとめ」をする。「今日は楽しかったですかー?」。すると子どもたちは携帯電話を持った腕を元気に振り上げた。「ハーイ!」。夕方には、みんな一人前のケータイリポーターになっていました。
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