「はーい。みんな注目!」ワークショップのプログラムが始まる。体育座りの子どもたちに向かって、最初のゲームの説明をするのは、河村研究員。みんなと同じ目線で反応を確認しながら、ゆっくりと話をしてみる。
「QRコードって知ってる?」「みんなケータイ使ってるの?」普段どれくらいケータイに触れているのかを少しずつ感じとりながら、まずはカメラ機能を使ったQRコードの読み取り方を教えていく。
何が始まるのかわからない子どもたちは、難しい顔をして説明に聞き入る。でも、一人ひとりに手渡された携帯電話のボタンを色々と押しているうちにだんだん様子がわかってくるようで、すぐにカメラの操作やiモードフェリカの使い方を覚えてしまった。
首からストラップでぶら下げていると、大変な荷物。大人の縮尺では、ハト時計を下げてるような感じ?「携帯電話」なんだから、邪魔にならないようなサイズを考えないと・・・集まってくれた時には誰も、バックなんて持ってなかったもの。未来のウェアラブルコンピューターなんて、結構子どもは喜ぶかもしれない。
一通りの説明が終わると、いよいよゲーム開始。子どもたちがやって来る前に、予めQRコードをプリントした「チケット」を部屋中に隠しておいた。
「チケット」を探し回る子どもたちは、机や椅子の下、カーテンの奥、ゴミ箱の裏からどんどん見つけていく。「あった!」「こっちにも!」ケータイの使い方をサポートする大学生スタッフも、みんなを追いかけるのは大変。部屋の中は大騒ぎ、汗だくになった子どもたちが、少しずつ仲間になっていく。
手の平一杯に集めたチケット。印刷されたQRコードに向かって、ケータイカメラの狙いを定める。「今だ!」とボタンを押してみる。まるで、ゲーム感覚。上手くできれば画面が切り替わって、クイズが表示される。
こんなことができるよ、と教えてあげる。子どもたちは夢中になって、手の中のケータイを見つめる。なんとなく歩きまわりながら、いろいろとボタンをおす。部屋にはいろんな人が歩きまわっていたから、前を見てなくてドカンとぶつかってしまった子もいた。夢中になるのは良いことだけど、前を見てないと危ない。
「カワムラさんの誕生日はいつでしょう?」「カワムラさんて誰だ・・・?」「さっき説明してた、めがねの人だよ!」サポートの大学生スタッフのアドバイスを受けながら、「カワムラさーん・・・誕生日いつ?」と駆け寄る。
今日初めて会った人達。子どもたちは、大学生や大人のスタッフに向き合って「すいません、誕生日を教えてください・・・」と聞いていく。電話やメールでは伝わらない、それぞれの表情や声の調子をお互いに感じていく。 「河村さんて、やさしい人なんだ・・・」
「誕生日の数字」は暗証番号。上手に入力して、クーポンを入手したらカウンターに進み、レジにケータイをかざすと、お弁当のメニューがズラリと映し出される。
「すげー。どれにしようかな・・・」「お腹すいたよー」。
自分の好物が入ったお弁当を手に入れて、午前中のプログラムはおしまい。「天気もいいから、動物園の広場で食べようよ」大学生スタッフが手を引いていく。すっかり友達同士になっている。
ケータイのクーポンを使って、お弁当に交換できるとなれば、お金と同じ。でも、お金みたいな形はないし、もちろん触ることもできない。だから、その「価値」が解ってもらえるだろうかと、少し心配した。でも、みんな大事に扱ってくれていたように感じた。
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