1.研究の概要
略称:MoDe* Project(モーデ・プロジェクト) *MoDe = Mobiling Desinging
研究メンバー:
- 代表者:水越伸(東京大学)
- コアメンバー:伊藤昌亮・林田真心子・鳥海希世子(東京大学大学院生)
- デザイン・評価メンバー:安斎利洋・中村理恵子(連画プロジェクト)、
山内祐平(東京大学)、須永剛司(多摩美術大学)
- 海外メンバー:呉翆珍(台湾政治大学、台湾)、アスケ・ダム(IMANO、ノルウェイ)、カリハンス・コモネン(ヘルシンキ美術デザイン大学、フィンランド)
- 支援組織:東京大学大学院情報学環メルプロジェクト、同BEATプロジェクト

2.これまでの経過
(1)研究の概要
- グローバル情報化のもと、人々がいかなる社会文化的文脈のなかでモバイル・メディアをとらえ、日々の生活に活用しているかを、比較文化的、歴史社会的な観点から明らかにする。
- その知見をもとにしつつ、モバイル・メディアと人々の関わり方の文化様式をより豊かなものにしていくために、メディア・リテラシーの育成を図る実践的なプログラム(教材、カリキュラム、ワークショップ、ソフトウェアなど)の開発を試みる。
- 調査に基づくResearchと、実践・実験に基づくDesignを、たがいに深く関わらせながら展開する。
- キーワード:メディア論、メディア・リテラシー、情報デザイン、メディア遊び、メディア人類学、コミュニケーション、共同体、身体技法。
(2)研究発表などの機会
発表・講演
- 9月20~22日:台湾政治大學傳播学院媒体素養研究中心(台湾)
- 10月17日:日本教育メディア学会(関西大学)
- 10月18日・19日:2004 International Conference of Mobile Communication in Seoul, Korea
- 11月13日:メルプロジェクト公開研究会
- 11月29日:University of Art and Design in Helsinki in Finland
- 12月2日:Telenor, Norway
論文など
- Shin MIZUKOSHI '"Critical Media Practice" on Culture and Literacy of Mobile Media in Japan," Proceedings of the International Conference of Mobile Communication in Seoul, Ocotber 2004.
- Mamiko HAYASHIDA, Masaaki ITO, Kiyoko TORIUMI "Cultural Probe on Mobile Media Literacy – From the Experimental Media Practice on Fukuoka Media Kids Summer Camp 2004" Proceedings of the International Conference of Mobile Communication in Seoul, Ocotber 2004.
- 水越伸「日本におけるメディアリテラシーの系譜と課題」『第11回日本教育メディア学会年次大会発表論文集』日本教育メディア学会、2004年10月
- 水越伸・林田真心子・伊藤昌亮・鳥海希世子「モバイル・メディアをめぐる『批判的メディア実践』研究」『情報学研究(東京大学大学院情報学環紀要)』No.68(印刷中)
(3)調査・実践研究活動(上記図中のD-1、D-2、R-1、R-2に対応)
"design" activities
- D-1 世にも希な@@マップ作り
- 7月31日~8月2日:「世にも希な胎内マップ」メルプロジェクト合宿(新潟)
- 8月6日~8日:「世にも希な上陽マップ」福岡サマーキャンプ実践(福岡)
- D-1 「ケータイだけで絵本をつくる」プロジェクト
- 東京大学大学院情報学環教育部授業「メディア演習」(水越伸担当:2005年度冬学期)で実施
- D-1 台湾・日本ケータイ・リテラシー実践(予定)
- D-2 「携帯カンブリアン」開発と実践・評価(進行中)
"research" activities
- R-1 映画における表象分析(進行中)
- R-2 広告・カタログにおける表象分析(進行中)
(4)わかってきたこと
モバイル・メディアの特性
モバイル・メディアは、これまでともすれば通話やメールといったオンライン(バーチャル)なコミュニケーションの部分だけをとらえて研究されがちだったが、それはなによりつねにたずさえて持ち歩くことができ、人によってモノとして扱われるフィジカル(リアル)なコミュニケーションの部分についても研究を進める必要がある。両者があやをなして、モバイル・メディアの文化やリテラシーが形作られているからである。
モバイル・メディアリテラシーの階層
ケータイのメディア・リテラシーとは、今のケータイをどれだけ使いこなすか、いかにマナーを守るかといった表層でとらえられるべきではない。それは新聞やテレビなどのマスメディアのリテラシーとは自ずから異なる領域を持ちうる。それを探らなければならない。さらにいえば、ケータイとマスメディアなどをバラバラにとらえるのではなく、それらを共通の土台でとらえることができる、メディア・リテラシー原論とでもいうべき深層を探り、デザインする必要がある。
方法論としての批判的メディア実践(Critical Media Practice)の定式化
実験的・実践的な活動を通じて理論的・思想的な知見を手に入れる、逆に理論的・思想的な観点から実験や実践を展開するという、循環型のあらたなメディア論の次元を切りひらくことが可能であることがわかってきた。その次元をさしあたり「批判的メディア実践」と呼び、「メディア・プローブ(Media Probe)」という手法を編み出しつつある。
3.課題と今後の展望
(1)課題
- 研究体制の整備に時間がかかったこと。
- 海外との共同研究の進め方を見きわめること。
(2)展望
- 先行研究との接合をしっかりはかること。
- 歴史社会的研究をさらに進めること。