本研究の目的は、災害時の携帯メディアにはどのような問題があり、解決には何が必要なのかを、明らかにすることである。本年度のプロジェクトとしては次のようなものがあるが、中間報告としては、2と3について報告する。
研究課題一覧
| (1) | 阪神淡路大震災以降の災害ケースに災害時の情報ニーズを整理する。 |
| (2) | 災害医療システムにおける通信の問題点を明らかにする。 |
| (3) | 本年度に発生した災害時における、情報伝達の問題点を明らかにする。 |
| (4) | IP関係の通信障害事故を取り上げ、通信事業者への聞き取りを通じて災害時のIP通信の問題について検討する。 |
| (5) | IP電話や携帯電話からの緊急通報の問題に関して、通信事業者に対する聞き取りを行う。 |
| (6) | 通信メディア全体の利用状況、各種情報サービスの利用意向、利用上の問題点の把握する。 |
| (7) | 各種サービスをモニターに試用してもらい、サービス改善点について、グループインタビューを行う。 |
| (8) | 災害弱者について資料収集・聞き取り調査を行う。 |
災害時の救急患者搬送先の決定について東京消防庁への聞き取りを行った。その結果、
| (1) | 無線(61の災害拠点病院は防災行政無線を装備しており、福祉保健局を通じて被災病院の情報を収集する) |
| (2) | インターネット(厚生労働省の「広域災害救急医療システム」) |
| (3) | 一般電話回線(「救急医療情報システム」「広域災害救急医療システム」)などで連絡を取ることがわかった。 |
しかし、インターネットでは病院側の入力の問題、一般回線では輻輳などの課題があることがわかった。
被災地において聞き取り調査を行ったところ次のようなことがわかった。中之島町をのぞいて、地元自治体が避難勧告発令を決定した時刻そのものは、遅いとはいえなかった。問題は発令した避難勧告を住民に伝える伝達手段が欠如していたことにある。教訓としては次のような点があげられる。
| (1) | 電話連絡のように労力を必要とすると、伝達そのものが後回しになってしまう。 |
| (2) | 自治会長-班長-住民というリレー式の伝達は、混乱状況では成功しにくい。 |
| (3) | 伝達システムは、常日頃から利用されている必要がある。 燕三条FMには緊急割り込み放送システムがあったが、昼すぎまで、使われなかった。 |
| (4) | 伝達システムは、「プル型」ではなく「プッシュ型」であるべき。 FMは利用容易、降雨中も聞きやすいが、住民が放送を聴かず機能せず。 人が情報を引き出す形の「プル型」のメディアでは、このような問題が起きやすい。 |
| (5) | まずは同報無線。補助的手段として、携帯メールを使って避難勧告を伝達するような仕組みも。 |
一方携帯電話の対応としては次のような事があげられる。第一に、音声は発信規制を行ったが、パケットは規制が行われず、つながりやすかった。パケットを別制御することは成功したようである。第二に、iモード災害用伝言板が7月13日~23日のあいだ発動された。その結果アクセス数680万件と多かったが、実際に登録したのは5476件、確認したのは6841件、登録者は4455人にとどまった。マスコミの告知など利用促進策が望まれるところである。
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